※という名のリイネ8月の行動まとめ。
長くなったので第一弾投下！

（そう書かれた封筒は、流通しているマジカルレターではなく、一般的な封筒に入ったもの。
裏に書かれた名前を見て、母リンはドレス姿でリビングへと駆ける。）

「ダーリーン！大変よ大変！」

（リビングでは、父のオースティンが次女リリーネの勉強を見ている最中だった。
テーブルの脇に立つ二足歩行の白竜と、椅子に座る小さい翼を揺らす少女。）

「騒々しいな、どうしたんだリン。」
「……？」

（言葉は少し煙たそうだが、無下にするわけでもなく、少し心配そうに妻の様子を伺うオースティン。
隣で椅子に座っているリリーネは、不思議そうに母を見て首を傾げて。）

「手紙よ手紙！リイネちゃんから！」

「……ねえさま、っ！」

（リイネの名を聞いた途端、椅子から立ち上がろうとするリリーネ。
勢い良く後ろにズレた椅子が、オースティンのKO☆KA☆Nにダイレクトアタック！）

「オァ！！！！」

「ダーリンッ！まー、大変！何か冷やすもの探さなくっちゃ！！」

「あ、お、お父様、ごめん、なさい！」

（一家大混乱。テーブルに置かれた便箋は、全部で４枚。それぞれが家族へと書かれたもので。）

[0回]

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お父様、お母様、お元気ですか？


私はペティットという街でお仕事を見つけ、
今はフライルー地方の港町、サンクポートに居ます。

ペティットは、なんだかとても不思議な雰囲気の街で、
でもとっても活気にあふれていて、良い街だなぁって思っています。

街に着いてすぐ、レインさん、っていうお医者様に出会いました。
レインさんは、本当にペティットについてからすぐ、初めて出会った方で、
桜花のカタナ？を振られているところをお見かけして。
すごく綺麗な型で、マルスお兄様が見たらきっと喜びそうな。
気さくな男性で、街に着いたばかりの私に、
おいしいご飯屋さんを紹介してくださいました。

お父様は、リール商会という名前を聞いたことはありますか？
そこの二代目になられるミハエルさんという方にお願いして、
貿易や、仕入れの勉強をしています。
とっても面白い方で、きっとお父様も気に入られると思います。
もし私がリール商会で成功して、リントブルームと取引をするようなことが
あれば、そのときはぜひミハエルさんをご紹介させてください。

ミハエルさんはリール商会の二代目になられる方で、赤毛の男性です。
街に来てすぐの私の話をきちんと聞いてくれて、
商会で世話になりたい事をお伝えしたら、
快く了承してくださいました。

そして、その商会のお仕事でサンクポートに来ているという訳です。

サンクポートにはリール商会の船でやってきたんですが、
船には他にもたくさんの方が乗られていて、
そこでお友達もたくさん出来ました。

まずは、船長さん。
商会の船をペティットからサンクポートへと指揮された方。
バルタザールさん、っていう男性で、
ザ・海の男、っていう感じの方です。
旅の間にお誕生日を迎えられたそうで、
私からもプレゼントをお贈りしました。
無事に花が咲いているといいんですけど。

あ、その2日後がミハエルさんのお誕生日で、
その時は直接お渡しできなくて、
宿の受付にお願いして渡して頂きました。

ステラさん。
星の研究をしてる学者さんで、
お姉さんみたいに接してくれる、優しい女性です。
少し魔法も使えるみたいです。
よく、船長さんに遊ばれています。

レミさん。
私よりお若そうなのに、
いろんな事を知っていて、ちょっとえっちな子。
そういえば、おいくつなのか、聞いてない。
ペティットに好きな人がいるみたいで、
応援してあげたいと思います。

司教様。
ギガトールさん。
教会にいらっしゃる司教様。
とっても大きな方で、きっと兄様たちと身長が
変わらないんじゃないかしら。
おっきいですけど、話してみるととっても楽しい方です。
この前も、神父と司教の違いについて教えて頂きました。
今度商会のお仕事で、教会と孤児院に荷物を卸すので、
そのお話もしないといけませんねぇ。

バートレットさん。
もともとペティットの自警団の方らしいんですが、
サンクポートについたその日に港で偶然お会いしました。
司教様と船長さんがお知り合いだったみたいで、
ご紹介して頂きました。
ペティットの自警団はすごくアットホームなところで、
会議の内容なんかも市民に公開してるんだそうです。
今度コーヒーをご馳走してくださるそうなので、
何かおみやげを持っていかないと！

ユベルティさん。
こちらもサンクポートでお会いしたペティットの方。
冒険者さんだそうで、船長さんと何やら打ち合わせ？をされてました。
後で他の方から聞いたお話なのですが、
フライルー地方を回って復興を行う巡礼団の団長さんだったそうです。
聞けば聞くほどものすごい冒険譚の数々で、
いつかユベルティさんからもそのお話を聞けたらいいなぁって思ってます。

テイリーさん。
ペティットの孤児院からサンクポートの孤児院へ、
いわゆる慰問で訪れていた方々の一人です。
ちょっとふしぎな子で、あまりお話はできなかったけれど、
きっといい子なんだろうなあって、思います。
また街に帰った時は、ゆっくりお話してみたいです。

ルサルカさん。
冒険者さん？魔術師さん？なのかな。
水の魔法を使ってる人で、
みんなで海で遊んだ時、海水になってたの。
そういえば結局あの時以来お会いしてないけど、
今はもうペティットに戻ったのかしら。

ミカさん。
いっつも気怠そうな感じの男性。
それだけ、ならあまり好きではないタイプの方なんですが、
時折見せるお顔がとても優しそうで、
人助けだったりとかお手伝いだったりとか、
文句をいいながらもやってくださるような、
そんな方です。

ミツキさん。
先ほどのミカさんとは打って変わって、
いつもニコニコしていて、ほっておいたらずっと喋ってるような、
そんな方。
でも、ミカさんもミツキさんもそうですけど、
みんなとってもお優しい方たちです。

……、そういえば。
ミカさんとミツキさんにお会いしたときに、
もう一人女性がいらっしゃったんですが、
どこかでお会いしてるような気がするんですよね、
こう、何か藍色のものと戦っているときに……。
思い出せない。うっ、頭が……。

アキトさん。
船長さんのお誕生会でお会いした方。
なんだか変なぬいぐるみをプレゼントされそうになりました。
アキトさんもあまりお話できなかったので、
もし機会があればまたゆっくりお話してみたいですねぇ。

それから、ドラゴンに乗ってらした方。
パーティがなかなかの人数でしたので、
ご挨拶する機会がなかったです……。
ドラゴンちゃん触りたかったんですけど…。

アイニィさん。
なんていうんでしょう、こう、すごい方です。
なんでも島くらいある鮫を撃退したとか、
すごい竜騎士と戦ったとか、
名のある冒険者さんなのでしょうね。
次にお会いしたときは、是非剣の稽古もつけていただきたいです。

メレディスさん。
船長さんの誕生パーティの準備でご一緒になった女性。
とてもお優しい方で、ペティットでは孤児院で勤務されてるのだそう。
サンクポートの孤児院に司教様たちと慰問でいらしていた所に、
何度かお邪魔させていただきました。
子どもたちと接する様は、本当に女神様のようで。
街に帰ったらペティットの孤児院にもお邪魔しなくっちゃ。

ユングちゃん。
私が会った時は、サメのような被り物をされてた女の子。
なんでもアイニィさんの娘さん？なんだとか。
魔物が好きみたいで、私の翼の羽も欲しいっていってたから、
ひとつ上げましたけど、何に使うんでしょうか…？

ギル君。
サンクポートの喫茶店で出会った、黒竜の竜人さん。
なんだか弟みたいで、すごく話しやすい子。
ペティットに帰ったらまた会えるかな。

アイザックさん。
話に聞いた感じだと、ギル君の旦那さん？お嫁さん？
あまりゆっくりとお話はできなかったけど、
またいつか、お話してみたいな。

こうして書いてみるとすごくたくさんの人に出会えたんだね。
とてもいい人たちばっかり。

きっとこれからも、色んな人に出会うんだと思います。
それが私の宝物になるんだ、ってお母様が言ってたこと、
なんとなくだけど、わかってきた気がします。

じゃあ、また。

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（二枚になった便箋は、そんなセリフで締められている。）